交替制勤務シフトにおける連続夜勤について考える 《ヒューネットジャパン提供》
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交替制勤務シフトにおける連続夜勤について考える

JR福知山線の事故は、非常に痛ましいものでした。運転手であった高見隆二郎さんは、夜勤明けの日に事故を起こしました。また、ある人は、夜勤明けの工場で機械に挟まれ大変な怪我を負いました。
また、交通管理隊や、大型トレーラーの運転手が3日間の連続夜勤で大事故を引き起こしたりと、夜勤という勤務形態が引き起こす様々な弊害が取り出さされております。
先進国のアメリカでは、医療労働者の睡眠不足に起因するであろう医療事故死が交通事故の3倍になろうとしているそうです。

勤務方式の違いで疲労はどのようになるのだろうか。ここに興味深いテスト結果がある。フリッカー検査といわれるもので、光の明滅頻度を変えてその明滅を見分ける機能を測定するものである。
これによれば、夜勤が隔日に行われる体系と夜勤と次の夜勤が9時間程度の間隔で行われる場合が最も反応が鈍り、自覚症状を訴える人達もいたと報告されております。
睡眠時間のムラに関しても通常の日勤者に比べはなはだしい違いが見られるそうです。実際、スリーマイル島の原発事故やスペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故、チェルノブイリの原発事故も睡眠不足に起因していると云われております。

さらに、交替制勤務者の体重変化を記録したデータもありました。これによれば、入社後、4年目には1.5Kg~1.8Kg、5年で2Kg、8年目では3Kgの減少という平均が出たそうです。これは、夜勤は不規則な生活を余儀なくされ、正に、身を削っているといわれてもしょうがない結果となっております。調査では、体重の回復についても行われたようです。これによれば、若年者の体重回復は比較的早い時期に行われますが、高齢者になればなるほど遅いという結果が現れました。

また、厚生労働省の調査でも、深夜労働では、体調不良を訴える人が36%もおり、これは、深夜労働時間が長い人ほどその傾向は顕著で医師に病気と診断された人もかなりの確立で存在していることが発表されました。

弊社がお取引を頂いている病院や介護施設等では、夜勤の後に明番公休は元より、その翌日もお休みとしている事業所もあります。反面、お客様ではありませんが、「そんなことをしたら、勤務シフトを作るのが面倒で仕事にならない」といわれ、夜勤専門要員を設けているところもありました。

また、あるホテルでは、夜勤を2日連続で徐々に日勤に直していくという話を聞きました。なるほど考えていると思い、深く聞きますと、実際は、勤務シフト表を作成するために簡略化するために、なるべく連続した勤務にすると作りやすいからそうなったという事実を聞き、関心を撤回しました。お客様へのサービスをメインとされるホテルにおいて疲労困憊の従業員を見たいと思う人はいないと思います。

しかし、現場での聞き取りサーベイでは、夜勤は連続したほうが良いという意見もあり、驚いたことを記憶しております。それは、コロコロ替わるより続けてあったほうが楽というものでした。これは、若年者に顕著に現れるようでした。ただ、若いせいもあるのか、夜勤明けには寝るという行動は取らず、目いっぱい遊んで翌日昼ぐらいまで寝るといういわば寝だめのような行動があるのにも驚きました。若さゆえ、このような後先を見ない行動が出来るのだと感じました。

事業側は、お休みの環境を与えていると話しても(JR福知山線の事故でも、JR側では夜勤から早朝の乗務まで、仮眠・休養時間をふくめ七時間弱の待機時間があることを強調していた)、それが、どのように取られているかで、表向きと実際では、大きな隔たりがあるのではないでしょうか。

以前、交替制勤務となると、24時間稼動の工場やコンピュータ保守センター、手形交換所、ビル管理など、限られた業種でしたが、近年では、サービス業が24時間を通して行える体制になったとこに起因し、様々な業種で交替制がとられるようになってきました。
このような環境下で労働者の適正な勤務方式を考えることは企業の生き残りにも影響するのではないかと考えております。今後、勤務体制の不備による労働事故に対する訴訟も多くなるのではないでしょうか。
わが国には、脈々と語り継がれる「根性」という言葉があり、これが違った意味で流用されますと、自己満足の夜勤要員を増やしてしまう結果となり、雇用の不均衡がいつの間にか合法になって気やしないかと心配しております。

弊社、勤務シフト作成ソフトウエア『ワークナビ』は、勤務シフト表の作成者は元より、それらを管理する管理者にとっても客観的な判断材料を提供していきたいという視点から作成されております。
どの方式が好ましいかという判断は業種業態により大きく異なります。また、従事者の意見も重要ですし、企業としてのパフォーマンスも重要な要素となります。これらを踏まえてのコンサルティングも可能ですので、ご相談いただければと思います。

参考文献:斉藤一「交替制勤務」労働科学研究所




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